東京会場 平成26年3月26日(水)
大阪会場 平成26年3月29日(土)
日頃より社会科・公民科教育、大学入試対策、就職対策など様々な目的で時事問題をご指導されている、また、今後ニュース検定(以下、N検)の導入をお考えの教職員の皆様に向けて、N検をより効果的にご利用いただくためのセミナーを東京・大阪で開催しました。全国からたくさんの方にお集まりいただき、ご好評いただきました。
同セミナーでは(株)毎日教育総合研究所・代表取締役・出川 研より開会のご挨拶、続いてN検スタッフより2014年度版公式テキスト・問題集、2013年度検定の実施報告と近時の活用傾向についてご案内しました。後半では、既にN検をご指導の現場で活用されている先生方6名より、活用事例のご報告をいただきました。以下、先生方にセミナーでお話しいただいた内容をご紹介したいと思います。
ゼミナールにおけるN検活用とその効果
東京会場では、千葉経済大学経済学部の中嶌剛先生より、ゼミナールにおけるN検の活用についてお話しいただきました。中嶌先生は同校に着任された2011年に、ご担当のゼミにおいてN検を導入、「準2級合格」をゼミ生共通の三大目標の一つとして設定されています。同ゼミでは「チーム制」を取り入れ、ゼミ生で構成される「N検チーム」が存在します。検定日の1ヶ月程前になるとN検チームが主体となって解答付きのオリジナル問題集を作成し、ゼミ生全員に共有。中嶌先生もN検公式テキスト・問題集を参考にオリジナルの一問一答の作成や、月イチ時事サポートの活用等で、ゼミ生全員の合格を支援されています。N検導入をきっかけに、他の検定にもチャレンジする学生や世の中に興味関心を示す学生が増えてきたと、効果を感じておられます。同ゼミでの取り組みが全学的に噂で広がり、ゼミ生以外のN検受検者も年々増加しているとのことで、1年次の基礎ゼミや入学前教育におけるN検導入も検討されています。
無関心な生徒を引きつけるN検の可能性
東京都立多摩高等学校の塙枝里子先生より、授業でどのようにN検を展開していくのかお話しいただきました。塙先生は以前より周囲はもちろん、自分自身にさえ関心のない生徒、また経済的な理由で新聞やニュースに触れることが難しい生徒に対し、世の中と自分をつなぐ習慣として新聞等を活用した様々な取り組みをされてきました。取り組みを始めて4年目、第三者的な効果測定として、また生徒自身に小さな成功体験を積んで自信をつけて欲しいという思いから、選択授業でN検を導入されました。生徒に「大学受験のため」や、「将来幅広い知識を身につけるため」といった各々の「なぜN検を受検するのか」という目標設定をさせ、それを常に意識させる工夫を行ったほか、公式テキストや月イチ時事サポート等を参考に作成した問題演習や、夏期講習での指導等、熱心にフォローをされました。その結果、受検者全員が見事3級に合格。N検を通して世の中に関心を持ち、合格したことで自信を得て次のステップへチャレンジするようになったとのことです。先生自身も様々な学校のニーズを満たしてくれるものだと、N検の可能性を感じておられます。
授業外で生徒のN検合格をサポートする仕組み
広尾学園中学校・高等学校の町田貴弘先生からは、授業外でN検合格をサポートする仕組みについてお話しいただきました。同学園では、新聞やテレビニュースに親しむきっかけとして、中学3年生全員がN検3級を受検しました。合格に向けての仕組みとして、朝学習でミニテスト、昼読書の時間には最新の新聞記事等を配布するほか、夏期休暇の課題としても月イチ時事サポートのコンテンツを活用されています。さらに、ニュースへの関心を高めるために、土曜特別講座においても「N検対策講座」を設け、通常授業の内容と絡めて、「アベノミクス」や「憲法改正問題」といったテーマの解説やディスカッション、問題演習を行っています。その結果、合格率8割以上となり、ニュースに関心を持つ生徒が増え、新聞を読むための基礎知識を習得させることができたと、効果を感じておられます。今後は他学年での実施も視野に入れ、N検を継続して行えるようなしっかりとした仕組みづくりを検討されています。
大学教育におけるN検コンテンツ活用法
大阪会場では、関西外国語大学短期大学部の前田隆司先生から、大学の講義においてどのようにN検のコンテンツを活用するのかについてお話しいただきました。前田先生はご自身の授業で、N検公式テキストを教科書として使用され、「尖閣諸島」「震災からの復興」「原発」といった日本社会の構造的な問題や、長期課題、また人間の生き方に絡むようなテーマを優先的に取り上げられています。単なる「知識の詰め込み」ではなく、テキストに書かれた事象の背景や構造を説明し、学生自身に社会の諸問題について深く「考えさせる」ことを目的とされているためです。先生は個人の価値観やイデオロギーを学生に押しつけることのないよう、できるだけ現場を訪れ、目で見たことをテキストの内容を補うかたちで学生に伝える、といった方法をとられています。また、授業内でディスカッションや作文を行う際にも、導入としてテキストを利用されており、「活用のしがいがある」と評価をいただきました。先生は終始、「教うるは学ぶの半ば」と、教える立場にある教員も勉強することを忘れてはいけないと強調されていました。
必修でも選択でも―N検使い分け事例
神戸山手女子中学校・高等学校の近藤隆郎先生からは必修・選択両授業におけるN検活用法についてお話しいただきました。同校では2008年度の第1回検定よりN検を導入され、毎年6月と8月の年2回、高校3年生の選択授業「時事研究」の希望者に対し、2級合格を目標に実施されています。公式テキスト発展編を利用し、問題意識を持って「動いている社会の現実」を見つめ、テーマに対して自分の頭で考え、説明できることを目的とし、解説や討論も丁寧に行われています。また、高校2年生必修の現代社会では、検定は実施せず、授業や定期テストに公式テキスト基礎編を利用されています。「長年苦労していた時事に関する授業のレジュメ作成を、N検の体系的な教材が解消してくれた」と評価をいただきました。その他、両授業でミニテストや理解力アップシートなど、テキスト以外のN検コンテンツも活用されています。時事研究の授業で実施したN検では、生徒の自主的な学びを促し、さらに上の級へチャレンジする生徒や、N検合格を活用して大学入試の合格を手にする生徒も出てきたと、効果を感じられています。
時事力を育む授業と今後の課題
岡山学芸館高等学校の茅原康匡先生からは、N検を活用した時事力を育む授業展開と今後の課題についてお話しいただきました。同校では、時事力や問題解決能力、新聞やニュースを見る習慣を養うほか、社会の動きを知りながら自分の将来を考えさせることを目的とし、2010年よりコース内2、3年生の選択授業においてN検を導入。公式テキストを教科書として、2年生は3級、3年生は準2級・2級を目標に全員受検をしています。初回の授業では必ず、新聞やニュースに関する意識をアンケート形式で調査し、その結果をもとに授業を展開。テキストの解説、月イチ時事サポートのミニテストや理解力アップシートを活用した問題演習はもちろん、ディスカッションや小論文の時間を設けて、「話す」「書く」力も同時に養います。他にも企業訪問、地元紙の協力を得ての進路新聞作成など、授業を通して社会に関心を持ち、自分の将来を考える生徒が増えてきたと効果を感じておられます。該当授業のあるコース以外への呼びかけや、生徒間の口コミによってN検受検希望者が年々増加している一方で、今後全体の合格率をどのように向上させていくのかを課題とされています。
以上、「平成26年度N検スタートセミナー」は、全国よりたくさんの先生方にご参加いただき、ご好評のうちに終了しました。