第14回ニュース検定直前合格必勝講座を開催しました【大阪】

2022年10月23日(日)

 第59回ニュース時事能力検定試験(N検)を突破するための「N検直前合格必勝講座」が10月23日、大阪市北区梅田の毎日新聞大阪本社ビルの毎日文化センターで開かれました。

 N検1級合格者の講師、中島章雄・毎日文化センター元社長は、受講生に、22年6月実施の第57回N検と、同9月実施の第58回N検の、各2級・準2級の問題を基に、関連する最近の新聞記事を解説し、正答へたどり着くコツを伝授しました。さらに公式問題集(22年版N検公式問題集1・2・準2級)と過去問(第58回と第57回の、2級と準2級の問題など)、テキスト(22年版N検公式テキスト1・2・準2級)について、「問題の選択肢のどれが正答か、は大切ですが、それだけでなく、正答ではない残り3つの選択肢のどこが間違いなのか、どんな意味があるのか、公式テキストのどの部分に関係するのか、について考え、それを解明していくことが、知識を深め、関連する別の問題の正答につながります」と話しました。講義後には、具体的なケースを資料にまとめたメモをメールで受講生に送信して補足していました。

 講師は「基本、N検は試験ですから、落とすために実施される、と思ってください。合格するためには、テキストを読んで理解することを中心にすることだけではなく、問題に対峙していかに正答を引き出していくか、です。過去のN検で出題された問題や問題集掲載の問題を中心に学習し、その都度、関係するところをテキストに返って読み返し、それでも不明なところや書かれていないことはネット、辞書などで調べることを繰り返してください。そうすることで正答にたどり着けます。ゲーム感覚で解ければ面白いし、楽しい、と感じながら、挑戦していきましょう」などと話していました。

 最初は、講座当日の10月23日朝刊1面で掲載された「政府・日銀 円買い再介入」について取り上げました。9月22日に続いての円買いドル売り介入で、同日には約2兆8千億円が介入に投じられました。日本時間10月21日深夜から22日未明には東京外国為替市場ではなく、ニューヨーク外国為替市場での再介入でした。当初の、151円が介入で「−5円」で146円になって「円高」、とはどういうことか、という受講生からの質問に、「これは151円で買えたハンバーグが、円買いの介入で、146円と、5円安く買えた、と思ってください。もともと151円のものを、5円安く、146円で買えた。それだけ円の価値が逆に上がったと考えて」などと説明。具体的には、「財務相の指示を受けた『政府の銀行』でもある日銀が、実務を行い、政府・日銀が保有している外貨準備高からドルを売り、円を買い入れました。市場で流通しているドルで円を買う、つまり、日銀がドルを大量に売りに出して円を買うことが為替の『介入』です。『需要』と『供給』の法則で、市場に流通するドルが多くなる(と、言っても市場全体からみればわずか)一方で、円の流通量が少なくなり(同)、『ドル安』『円高』になります。市場は巨大ですので、介入額が数兆円と私たちから見れば巨額ですが、為替変動額は数円単位となります」などと解説。実際には「22年9月末で、日本の外貨準備高は1兆2380億ドル、1ドル145円換算で約180兆円ありますが、大半は米国債で、直ぐには現金化できません。外貨準備高のうち約20兆円が預金で、今回のような介入など緊急用にすぐに使える実際の額です」と中島講師が説明。現役記者時代には、毎日新聞大阪本社社会部で、大阪府警担当の事件記者、東京本社政治部では日本の政治・経済のど真ん中の永田町・霞が関で首相官邸キャップなどとして取材した講師から裏話として「政治部首相官邸キャップ時代に橋本竜太郎首相と話していて、財政が厳しいという話しになった時、『米国債を売ってしまおうか、と何度も思ったことがある。が、できなかった』と、ニヤリとしながら話していたことがありました」と過去の経験を話し、「現役首相当時の“橋竜”はアメリカ何するものぞ、という雰囲気でしたが、米国債を売るには米国の『許可』がいるのかあ、と思ったことがありました。確かに日本は当時も今の大量の米国債を保有していますが、実際には売ろうにも売れないのです」と、日本と米国の力の均衡具合を象徴する発言が披露されていました。

 9月29日付の「10月から暮らしこう変わる」という1面記事では、医療費負担増や幅広い商品値上げなど、日々生活に直結する変化がズラリと並んでいました。その中に「児童手当特例給付の一部廃止」が取り上げられており、第58回N検準2級の問29、30は、この「児童手当特例給付の一部廃止」を一足早く問題としていて、それを講師が解説。「N検は、このように、日々の生活に密着した問題を取り上げており、新聞をしっかり読み込むことが正答への道です」と話していました。

 中国共産党の5年に一度の党大会が講座当日10月23日に閉会したことが同日の1面記事に。この党大会の問題が第58回N検2級の問45で出題されており、中国国内の権力闘争と現状、今後、特に台湾問題などがどうなるのか、記事にそって説明されました。結果として「習近平1強支配」が今回の党大会で確立した中国と日本は、「引っ越すことのできない隣国同士であり、これからも、粘り強く付き合っていくしかない以上、何とか平和な状態を持続できるようしていくことが必要」、と話していました。

 10月14日の2面と国際面には、国連総会緊急特別会合で、ロシアがウクライナの東・南部4州を一方的に併合したことを非難、無効を宣言する決議案が143カ国の賛成多数で採択されたことが記事化されていました。これについては、第57回N検準2級の問42と、第58回N検2級の問40が関連する出題、として紹介され、解説がありました。第57回準2級問42では、朝鮮戦争が勃発した1950年、常任理事国のソ連(当時)が中国の代表権問題(1949年に建国された中華人民共和国と、中華民国(現在・台湾)のどちらが中国を代表するのかという問題)で安全保障理事会を欠席している間に、米国が「奇策」を考え出しました。それは、ソ連が拒否権を持つ安保理ではなく、全加盟国が出席する国連総会緊急特別会合で決議するというものでした。72年後の今回も、安保理ではロシアが拒否権を行使して決議できませんでしたが、総会緊急特別会合では4回、ロシアを非難する決議がされたのです。「こうした背景があります。しかし、第57回N検の設問にはそうした背景説明がなく、受検生にはちょっと難しかったかもしれません。ただし、安保理決議には強制力がありますが、総会決議には強制力はありません。そして、72年前は、加盟国が60カ国程度で社会主義国は1桁、その後アジア、アフリカ諸国が加盟し、逆に米国の意向が通らない事態も多く発生し、特にトランプ政権の時にはそのために米国が国連機関から離脱する事態も起こりました。まさに、『歴史の皮肉』です」との追加説明がありました。

 このほか、24年秋に、現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替えられる問題▼民法改正し、嫡出子規定の見直しや、虐待につながる親の懲戒権規定を削除する件▼原発の新増設、運転期間延長問題――などの新聞記事と関連する試験問題が紹介され、丁寧な説明がありました。

 さらに、公式問題集(22年版N検公式問題集1・2・準2級)、過去問(第58回と第57回の、2級と準2級の問題など)と、テキスト(22年版N検公式テキスト1・2・準2級=テページと表記)との関係について以下の4ケースが説明されました。

1.テ71ページ 下段の <2級チェック アフィリエート広告 ルール策定へ検討進む> の最後の3行、「また、プライバシー侵害の懸念が指摘される『ターゲティング広告』については、総務省が規制強化を検討している」の部分は、第58回N検準2級問37の選択肢②の関連です。②は「ネットの閲覧歴などを基に、消費者の関心に応じたデジタル広告を個別に表示することが可能になった」とありますがこれがテキストの『ターゲティング広告』の説明です。これを規制する改正電気通信事業法が22年6月13日に成立しています。
2.第58回N検準2級問37の選択肢④の実例が、テ88ページ下段左の<PLUS 被災地の状況把握にも>で、紹介されています。
3.第58回N検準2級問38でも以下のことが分かります。選択肢②が正解で「誤っているもの」です。オゾンホールが出現したのは、特定フロンが原因で、これは設問の地球温暖化とは関係ないので、「誤っているもの」です。しかし、この特定フロン(エアコンなどに使われる冷媒)を規制するモントリオール議定書が策定されると、今度は特定フロンに代わる代替フロンとしてハイドロフルオカーボン(HFC)が作られて代わりに使われるようになり、このHFCがオゾン層を破壊しない代わりに強い温室効果を持つことが分かり、2016年、モントリオール議定書が改定されてHFCの生産が規制されました。選択肢②の背景にはこうした問題点もあります。なお、このことは22年版のテキストには出てきませんが、私が2級と1級に挑戦した18年版テキストには記載されていますし、ネットで調べればたどれます。
4.第58回N検準2級問40の選択肢①は、石綿(アスベスト)のことが問題になっています。関連で、石綿問題では毎日新聞大阪本社の同僚が新聞協会賞を受賞しています。私自身も関心があり、テ134ページ ニュースのことば・「アスベスト(石綿)」を見ると、2014年に最高裁判決が賠償責任を認めているとの記載が確認できます。さらに、テ84ページを見ると、下のほうの 見出し<建設アスベストで国に賠償責任>の6行の記載が重要なことに気づきました。21年最高裁が国に賠償を命じ、これを受けて国会は建設石綿給付法を成立させて、被害者に給付金を支払うことになったのです。この準2級の問題ではここまで要求していませんが、石綿問題ではこの21年の最高裁判決は重要で2級、1級では今後、出題されるかもしれません。

 上記に続いてN検事務局が作成したミニテスト6月から9月までの問題を用意していましたが、講義時間がタイムアップとなり、詳しく解説した正答と解説と一緒に配布、各自の学習としました。また、希望する受講生には、本番の受検までの間、講師から課題プリントと正解と解説などをメールで送り、疑問・質問をメールでやり取りすることが説明されました。

 第60回ニュース時事能力検定試験(N検<2023年2月実施>)に対応した直前合格必勝講座は、23年1月15日(日)に毎日文化センターで開催予定<申込受付開始は22年11月21日(月)>です。ぜひ、上の級を目指しましょう!問い合わせは同文化センター(06・6346・8700)まで。

 なお、2020年度まで同文化センターにて講座受講+検定受検のセット申し込みを受け付けておりましたが、2021年度より同文化センターでの受付は当講座受講のみとさせていただいております。N検受検申し込みは各受講者個人でしていただきますようお願いいたします。

 お申し込み方法など検定に関する詳細はこちらから。

 中島講師はYouTubeでN検の対策動画も公開しています。ぜひご活用ください。こちらからご覧いただけます。

第59回N検に対応して開かれた直前合格必勝講座で受講生を前に講義する中島章雄講師=22年10月23日、毎日文化センターで