第12回ニュース検定直前必勝講座を開催しました【大阪】

2022年1月16日(日)

 第56回ニュース時事能力検定試験(N検)を突破するための「N検直前合格必勝講座」が1月16日、大阪市北区梅田の毎日新聞大阪本社ビルの毎日文化センターで開かれました。

 講師で1級合格者の中島章雄・毎日文化センター前社長は、受講生のみなさんに、「新年早々から学び続けようと、本講座を受講していただいたみなさんは、大変立派だと思います。複雑化する現代を有意義に乗り切きるためにもN検合格を目指して頑張りましょう」とエール。

 中島講師は、毎日新聞大阪本社社会部では大阪府警担当の事件記者、東京本社政治部では日本の政治・経済のど真ん中の永田町・霞が関で首相官邸キャップなどとして取材。ニュース現場を熟知しており、N検の出題5分野(政治、経済、暮らし、社会・環境、国際)からどのようなニュースが選択され、実際に試験問題になるのか、新年に掲載された10の毎日新聞の記事を基に具体的に説明・解説をしながら講義。最初は講師が現役記者時代から続けている元旦の恒例行事、主要各新聞の読み比べから始まりました。

 毎日、朝日、日経、読売、産経の5紙の1面、社会面の各トップ記事・連載企画と社説の概要などを要約した資料2枚を配布、参照しながら以下のように解説しました。

 毎日1面は、「オシント新時代~荒れる情報の海 Open Source Intelligence」。「オシント」とは、誰もがアクセスできる公開情報に基づく情報収集のことで、情報化時代のメディアリテラシーについて考える企画。ロシアの政府系メディアが、日本国内最大級のポータルサイト・ヤフージャパンのニュース配信サービス「ヤフーニュース」の読者コメント欄をロシア語に翻訳して転載する際、ヤフーの投稿の文章を、日本国内に駐留する米軍を日本国民が迷惑だと感じているように改ざん・加筆した疑いがあることを指摘しました。6年前の米大統領選にロシアがネット使って介入しましたが、現実には日本でもそれと似たようなことが起こっている実態をスクープした特ダネ。ネット社会の隙間にフェイクニュースが入り込んでいる一端をあぶりだし、記事化しており、これまでに指摘された「ネットの闇」がいよいよ日本国内の問題としても浮上してきたことがはっきりしました。日々のニュースに注意する必要があります、と話しました。

 朝日1面は「未来のデザイン」。未来の社会をどう設計すべきかを考える企画。日経1面「成長の未来図」は、危機に立つ資本主義のあり方を考える企画で、経済専門紙ならではの視点。両紙とも「未来図」、というテーマは似ていて、コロナ後の私たちの生活はどうなるのか、どうすべきなのか、羅針盤を求めての紙面構成でした。読売1面は「米高速炉計画、日本参加へ」。3・11の東京電力福島第一原発の爆発事故以来、日本国内では停滞している原子力発電についての別の方途、新しい道筋を目指すもの、との位置づけでした。講師からは「原発を進める方針の読売ならではの記事。ただし、福島の後始末はまだまだ続いています」とコメントがありました。各紙社説については、「日々の記事は役所などの担当記者が書きますが、社説はそうした現場の担当記者を経験したベテランの論説記者が自身の経験や知見を加味して書くので、じっくり読むと理解がさらに深まります。社説は難しい、と思っている方も、元旦や年度末、国会終了後などの節目の社説は、しっかりと読み込むことに挑戦してください。そうすればN検の問題への理解も深まります」と話し、例として1月5日朝刊の「健康寿命0.5歳延びた」の記事は、1月16日社説で「延びる健康寿命、生活改善促す環境さらに」でフォローしていること▽1月15日朝刊の「『プライマリーバランス26年度黒字』政府財政試算、現実離れ 高成長継続?補正予算組まない?識者は批判」の記事は、1月16日社説「岸田政権の財政見通し、甘い想定を続ける危うさ」でより詳しく問題点を抉り出していることを指摘。一般記事と社説とをセットで読むことが受検対策になる、と話していました。

 社会面では、毎日は「明日はここに、コロナ禍を生きる」、朝日は「住まいのかたち」で、両社とものコロナ禍を経て私たちの生活様式が大きく変容する中で大きな影響を受けた人々の様々な生きざまを描いています。産経は、「18歳の地図」で、140年ぶりの改正民法で4月から成人年齢が18歳となる若者たちの姿をピックアップ。記事で取り上げた「18歳」について、ニュース検定では、消費者問題での未成年者の契約取り消し権や、少年法の改正で18、19歳が「特定少年」と位置付けられて起訴後に実名報道解禁されることなどが実際に出題されることになると解説しました。

 さらに、紙面を使った解説が続きました。経済分野では、1月7日朝刊「米利上げ加速示唆、12月議事録要旨、FRB、インフレ警戒」の記事では、世界経済の動向を大きく左右する米連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和の縮小前倒しを決めた21年12月、連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録要旨が公表され、利上げ観測がさらに加速されるとの見通しが示されています。これに対して1月16日、FRBのハト派とされるクオールズ副議長の後任の新副議長にタカ派(金融緩和を縮小し、利上げに積極的)とされるラスキン氏をバイデン大統領が指名した、との記事が掲載されており、ハト派と言われるパウエル現議長とコンビを組んだクオールズ副議長の後任にタカ派のラスキン氏が指名され、金融緩和から、引き締め・利上げの方向へFRBが進むことが人事にも表れていることを説明していました。

 この後、N検事務局作成の「ミニテスト10月、11月、12月」分を実際に解いてもらい、具体的に解説し、質問に答えながら、本番の試験問題にどう向き合い、適切に正答に到達していくためのコツなどを伝授していました。

 受講生からの質問で主なものを紹介すると

 公式問題集にあるが、「読解・活用問題」は、どうすれば正答にたどり着けるか。長文の問題が苦手なので。

 基本は、問題を始めから最後まで読み通してから回答するのは効率的ではありません。まず、冒頭数行の質問文を読み、問題が何を求めているのかを把握。それから長文の問題文を飛ばしてそのあとにある選択肢に目を通し、どのような選択肢があるかを把握します。こうして質問の狙いと正答を含んだ選択肢がどのようなものであるかをおおよそ把握します。その上で、問題文を読み込んで回答します。ただし、本番の試験では45問を50分で回答する必要がありますので、全体の時間配分を考えて、4択問題を全て終えてから時間があればチャレンジする、という方法もあると思います。

 公式テキストの5分野の終わりにはそれぞれ「資料」があり、年表や図、グラフ、表などが2ページにわたってあります。この利用方法は?

 5分野はそれぞれ4~6の項目に分かれ、計26項目に分かれて構成されています。「資料」のページは、5分野それぞれの紙幅に収まらなかった重要な内容をコンパクトにまとめ、整理し、見やすくまとめて掲載したものです。ですから、単独で学習するというよりも、各項目のどの部分を補足・補強する資料なのかを考えながら参照してください。

 最後に、希望する受講生には、本番の受検までの間、講師から課題プリントと回答用紙をメールで送り、回答を中島講師にメール返送して、正解と解説、質問をやり取りする方法が説明されました。

 第57回ニュース時事能力検定試験(N検<2022年6月実施>)に対応した直前合格必勝講座は、22年5月22日(日)に毎日文化センターで開催予定です。問い合わせは同文化センター(06・6346・8700)まで。

 なお、2020年度まで同文化センターにて講座受講+検定受検のセット申し込みを受け付けておりましたが、2021年度より同文化センターでの受付は当講座受講のみとさせていただいております。N検受検申し込みは各受講者個人でしていただきますようお願いいたします。

 

 お申し込み方法など検定に関する詳細はこちらから。

第12回N検直前講座の様子=22年1月16日、毎日文化センターで