第10回ニュース検定直前必勝講座を開催しました【大阪】

2021年5月23日(日)

 「まず、行動しませんか。N検に挑戦!」をテーマに、第53回ニュース時事能力検定試験(N検)に対応する「第10回N検直前合格必勝講座」が5月23日、大阪市北区梅田の毎日新聞大阪本社ビルの毎日文化センターで開かれました。

 「なぜ? 世の中の疑問? ひとつのなぜ? が解けたら、次のなぜ? が、ほぐれていきます。さらに出てくる疑問を分からないままにしておかないことが、大切です。ニュース検定の問題・試験に臨むことは、これまで『まず、受け入れてしまう』、という気質のある私たちには『なぜ?』『どうして?』と考える習慣をつける入り口になると思います。ひとつ解ければ楽しくなる! 今日は、そのお手伝いをしたいと思っています」と講師の中島章雄・毎日文化センター前社長があいさつして講座が始まりました。

 毎日新聞政治部、社会部で記者としての経験豊富な中島講師は、講座直前の毎日新聞の記事を基にN検受検で注意すべき点を以下のように話しました。

 5月23日朝刊4面のG7気候・環境相会合の記事に関連し、21年版N検1・2・準2級公式問題集(以下、問題集)62ページ問1を参照しながら解説。「石炭火力発電をどうするかが今後の日本の大きな焦点です。この問1の正答は①ですが、新聞記事では、昨年、日本が石炭火力の輸出支援をする際の条件として発電効率が極めて高い石炭火力発電に限定して認めるなど厳格化しましたが、日本以外のG7各国は『石炭を過去のものにする』ことを今回の会合で目指していました。しかし、記事は、『(会合で)日本は防戦一方の厳しい交渉で、何とか逃げ切った』と政府関係者の話を掲載。なんとか非難の嵐を凌いだことを伝えています。しかし、6月11~13日、英国・南西部のコーンウォールで開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)では今回のように逃げ切れるかどうか不明で、いずれ日本も欧米並みにせざるを得なくなると思います」と近い将来、日本も石炭火力の輸出禁止の方向となるだろうとの見通しを話していました。

 5月20日朝刊5面では通常国会の終盤で与野党対決の構図が記事化されています。中島講師は、記事の「賛否が分かれる重要法案」、デジタル改革関連法案、国民投票法改正案、医療制度改革関連法案、入管法改正案、重要土地利用規制法案について「いずれも成立すれば、その内容がN検の問題になってきます。それぞれの法案の内容と施行されると私たちの生活とどうつながってくるかなどをしっかり押さえましょう」と指摘。各法案の内容の解説、実際の出題例、関連記事なども参照しながら受講生に理解を深めてもらいました。

 5月19日朝刊1面の2020年度のGDP実質成長率が戦後最悪のマイナス成長、との記事に関連し、中島講師は、問題集57ページ問1のCの記述「日本の2020年(通年)のGDPは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、リーマン・ショック後の2009年よりも落ち込み、戦後最悪のマイナス成長を記録した」と比較するよう受講生に求めました。中島講師は、「実はこのCの記述のうち『戦後最悪のマイナス成長』の部分が誤りで、『戦後2番目のマイナス成長』とする必要があります。新聞記事と問1の違いは、GDPを、一過性の金融危機か、年度をまたいで続いている今回のコロナ感染拡大により日本経済が大打撃を受け続けた危機か、という視点でとらえ、「通年」で見るか、「年度」で見るか、で、その衝撃度の違いが出たのです」、と解説していました。リーマン・ショックは2009年9月のリーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに、2009年内にほぼ終息した金融危機でしたが、コロナショックは2020年初から今現在の2021年5月まで、さらには今後もしばらくは断続して経済危機が続くとみられています。緊急事態宣言で経済が落ち込み、感染者が減少します。その後、少し経済が回復しますが、再び、感染者が激増して経済が大幅にダウンするという「年」を跨いで経済危機が続きますので、こうした違いが出た、と解説。「問題文を正確に読み解かないと正答に届かないことを学んでください」と話していました。

 中島講師からは、「講座の冒頭、受講生。ひとり一人に学習方法をお聞きしました。ほとんどの方がテキストをまず読んで、学習してから問題集を解いている、と言われていました。しかし、合格するためにすべきことはテキストの精読よりもまず、問題集と正答・解説をじっくりと学習することです。それからテキストを参照しましょう」と具体的に合格するためのコツをアドバイス。サンフランシスコ講和条約についての問題集53ページ問1を示して以下のように解説しました。 問1の正答は①です。③は誤答なのですが、③の公式問題集の「正解と解説」17ページには「現在の日本政府は『北方四島は千島列島には含まれない』との立場ですが、条約批准の国会で千島には国後島、択捉島が『含まれる』と答弁。鳩山一郎内閣でソ連との平和条約交渉が始まると、千島に国後、択捉は『含まれない』とする政府統一見解をまとめました(1956年)」とあることを指摘。このように問題集の解説では、かつて日本政府は「北方領土に国後、択捉は含まれない」と国会で答弁していたことを明記しています。これについて中島講師は「私は2018年に1級に合格してこれまで4冊のテキスト、問題集をすべて解いてきましたが、この部分の北方領土についての記述は初めて出会いました。国会でこのような複数の答弁があった当時はサンフランシスコ講和条約締結前後で、条約成立で日本の主権を回復させることが最優先課題で、占領下での政府答弁が制限されていたなどの事情があったようです」などと解説。その後、1956年2月にこうした答弁が国会で正式に取り消されていたことも説明。これ以降、「(北方領土の四島は)日本固有の領土で、外国の領土になったことは一度もない」(21年版N検1・2・準2級公式テキスト25ページ)」との日本政府の現在の見解となったことを説明しました。その上で、「選択肢のうち、正答だけを学習するのではなく、誤答はどこが違っているのかまでしっかりと学習してください」と話していた。

 さらに、問題集70ページ問2の成人年齢引き下げ(2022年4月施行)についての問を例に、以下のように説明・解説しました。「選択肢4つから正答1つを回答するという従来のパターンから、この問題のように、4つの選択肢から正答はいくつあるのか、を4択で回答させる問題など、N検の出題問題も単純4択ではない出題が出てきました。中には間違った記述が複数あり、それを除いて正答がいくつあるか、などのバリエーションも出てきています。ますます、一つひとつの事項の正誤が判断できないと正答にたどり着けないように工夫されてきています。ご注意を!」と最近の出題パターンの変化にも言及していました。

 この後、N検事務局作成の「ミニテスト」や毎日新聞朝刊に毎月末掲載される「ニュース検定に挑戦」などを受講生に短時間で取り組んでもらい、内容を具体的に解説、また、質問に答えたりしながら、本番の試験問題にどう向き合い、適切に正答に到達していくためのコツなどを伝授していました。

 最後に、受講後も、受検までメールで講座に関してやN検に関する質問に答えることや、希望者には最近のN検試験問題を中心にした出題範囲の政治/経済/暮らし/社会・環境/国際の5分野から各10問計50問からなる「課題問題プリント」をメールで受講生に送り、回答を中島講師が採点の上で正答と解説をメール返送する方法などが説明されました。

 第54回N検<2021年9月5日(日)実施>のための第11回直前合格必勝講座は、21年8月8日(日)に毎日文化センターで開催予定です。問い合わせは同文化センター(06・6346・8700)まで。

 なお、2021年度から受付は講座受講のみとさせていただきます。N検受検申し込みは各受講者個人でしていただく方式に変更いたします。講座受講者は、N検受検を各自で締め切り日までにお申し込みをしていただくようお願いします。第54回検定の締め切り日は①ニュース検定公式サイト利用(7月30日(金)締め切り)と、②払込取扱票(専用申込書)利用(7月21日(水)締め切り)で異なりますのでご注意願います。

第10回N検直前講座の様子=毎日文化センターで、5月23日